この記事であなたの暇がつぶせたなら幸いです。
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宮崎県小林市の移住促進PRムービー「ンダモシタン小林」
とりあえず何の先入観もなしに見てください。
どうでしたか??
動画の紹介欄にはこのような内容の説明書きが…
或るフランス人男性の視点を通して描きだされる、その素晴らしくもちょっぴり不思議な小林市の風景。
ラストには衝撃の結末が…!?
素晴らしいですね。
カット割り
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合計 25カット
この作品の素晴らしさ。分析・解説
まず、最近はやりの映画比率が取り入れられています。
アスペクト比ともいい、画面の縦と横のサイズの比率のことを言います。
現在の映画館で上映されているほとんどの映画はアスペクト比が2:1(微妙に誤差はありますが、そこまで細かく書きません。)です。
アスペクト比の違いは明らかにいつもと違う雰囲気を醸し出し、
これはただのPRムービーではないという事を伝えてきます。
CMやPRムービーなどはいかに印象を与え、瞬時に相手の心を掴むかが非常に重要なのです。
これはある意味”違和感”を与える事で、映像に引きつけられ、見るという行動に繋がるのです。
そしてこの作品、実は違和感の連続です。
それはなんといっても、やはりセリフがその大きなひとつになっています。
なんの先入観もなしにこの映像を見ると、セリフに字幕がふっている事と、
聞き慣れない言葉でしゃべっているところ、そしてこの方の見た目がヨーロッパ人の
雰囲気を漂わせているところから一瞬にしてこの言葉は
ヨーロッパのどこかしらの国の言葉だと思わせられます。が、実はそれはこのCMの策略です。
セリフをよく聞くほどなんだか「あれ、これ本当にヨーロッパの言葉??」と違和感を感じてきます。
しかしそれは英語ほど触れる機会のないヨーロッパの言葉だから、
これがヨーロッパの方が話す言葉なのだな、と感じていた方もいたでしょう。
ですがそれだけではなく、この作品の最も素晴らしいと感じた部分でもありますが、
この違和感を、さらなる違和感で上書きする事で、見ている側はセリフに対していつのまにか違和感が取り払われているということです。
さらなる違和感とは、ひとつめにc13のプラネタリウムでお客さんがなぜか大爆笑しているところです。
主人公が普通に町の紹介をしていることでそちらばかりに気をとられて気づきにくいかもしれませんが、
確実にそして無意識にこの違和感を捉えていたはずです。普通にプラネタリウムを見て爆笑をする人はみたことがないです。笑
それと、c18のチョウザメのお寿司のくだりでは板前さんと主人公の立場が逆転しています。
特にこのカットで、あれ?と感じた方は多いはず…。
決めてはc23の絵を描いているカットです。これが絵じゃなくてまさかの漢字を書いています。笑
このようにセリフ以外の違和感を演出していなければ、
映像が流れている間にだんだんとこれはヨーロッパの言葉じゃないな、怪しいぞ。
となり、ネタバレの時の衝撃を感じる人は少ないはずです。
ですが、違和感をさらに重ね、上書きしてやることでいつのまにかセリフに対しての意識はそれ、
最後のネタばらしの時にしっかりとパンチが効くのです。
違和感の積み重ねがこの作品のあり方という意識を作り、気を緩めていたところにオチをもってきたという感じです。
この繊細なトリックはかなりの演出力が必要とされるでしょう。
カメラワークも感情移入がしやすいようにアクティブな動きはほとんどなく、
ゆるやかなドリーやパン(カメラを横に振る事)があってそれが心地良く、そして自然に作品に入り込める作りになっています。
そんなことを意識しながらもう一度作品を見ればまた違う味を楽しめるかもしれません。
これが地域の紹介ムービーとは、本当に素晴らしい限りです。